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公開日 : 2019年12月19日
テーマ : PMO
第32話:IT部門/情シスのPMOが、ユーザーのお尻を叩いて感謝される法

● PMO最大の悩み
「毎回やってこないユーザーをどう扱えばいいですか?」
「毎回、お尻を叩いてください」
 
IT部門PMOのMさんにそう答えました。
 
PMOにとって「動かないユーザー」は、最も「あるあるケース」だと思います。
 
ユーザーに対して強い口調だと
 
「そんなに言うならPMOでやってください」
 
となり困ります。優しく言うと、やってきません。期限を長めに設定すると、完全に放置されます。
 
Mさんは、プロジェクトで一番年下ということもあり、年配のユーザーを動かす難しさを痛感するのでした。
 
 
● PMOとして問われるユーザーを動かす力
システム導入には、現場の「ユーザー」がいます。そして、例外なく忙しいです。なぜなら、ユーザーは「現業」を抱えているからです。そのため、現業を優先すると、プロジェクトに時間を割けなくなります。
 
一方で、現場を改革するには、当事者であるユーザーの動きが不可欠です。ユーザーが動かないと、プロジェクトは進みません。
 
では、どうすればユーザーを動かせるのでしょうか?
 
シンプルですが、定例会で「ユーザーのお尻を叩く」です。
 
まず、「お尻を叩く」という行為を、全員が嫌がっているのでしょうか?
 
ユーザーには、「協力的なユーザー」と「動かないユーザー」に分かれます。
 
「協力的なユーザー」は、「動かないユーザー」を嫌っています。表面上は指摘しませんが、PMOにお尻を叩いてもらうことを望んでいます。逆に叩かないと、PMOに対する不信感が高まってしまいます。
 
「ユーザーの上司」もPMOにお尻を叩いてもらうことを望んでいます。上司も現業で接するため、自らは言いにくいのです。
 
「経営層」もPMOがお尻を叩くことを望んでいます。プロジェクトで結果を出すことを期待しているからです。
 
PMOは孤独ではなく、周りからも望まれていると認識するべきです。
 
では、具体的にどうお尻を叩くのか?
 
定例会で出た「ToDo」を毎回、確認するだけです。
 
アジェンダの最初に「前回ToDoの確認」を入れて、完了するまでアジェンダから消えない「仕組み」にします。そして、しつこく確認していきます。
 
PMOをやっていると
 
「ああ、このToDoはやっていないんだろうな」
「この確認はスキップしようかな」
 
と思ったりもしますが、そこをスルーせずに必ず確認します。
 
聞かれる方も嫌ですが、聞く方はもっと嫌です。でも、我慢比べです。
 
ただし、やっていないことを「感情的」になる必要はありません。淡々と「事務的」に聞いていきます。出来ていなければ、期限を再設定します。
 
これをコツコツと積み重ねるとどうなるのでしょうか?
 
ユーザーはPMOに対して「申し訳ない」という気持ちが芽生えてきます。
 
「すみません~」という自らの言葉が、ユーザー自身に刷り込まれていくからです。すると、ユーザーは徐々に動き出します。
 
その瞬間を察知して、PMOは少しでも進捗があれば全力の笑顔で
 
「ありがとうございます!」
 
と返します。
 
種火から火を大きくする瞬間です。
 
立て込むように、PMOは会議の設定やアポ取りなど雑務を手伝います。すると、さらに加速していきます。
 
ユーザーも成果が出ると楽しくなります。プロジェクトの雰囲気も良くなります。もともとの「協力的なユーザー」も動きやすくなります。
 
お尻を叩いている期間は、恨まれるかもしれません。しかし、状況が好転した後は、必ず関係が良くなります。恨まれた分、プラスへの反動も大きいです。
 
そのようなユーザーは口を揃えて「PMOがお尻を叩いたのは当然だった」と、後から認めてもらえます。
 
ただし「後から」です。
 
 
● 年下も武器になる
「みんなでMさんにお尻を叩かれたよね」
「Mさんには俺が一番叩かれたよ」
「優しい顔してしっかりしてるよ」
 
プロジェクトの打ち上げで、ユーザーが笑いながらMさんを「イジって」いました。
 
ユーザーはみんなMさんに感謝しています。
 
Mさんは、毎週のようにToDoを再設定して、少しずつユーザーを動かしていきました。途中からは「みんなでMさんを助けよう」キャンペーンが立ち上がり、そこから団結したとのこと。
 
一番年下のMさんは、いつしかユーザーから可愛がられるポジションとなっていました。年下だから動かせないのではなく、年下も武器になるということです。
 
もし、今のプロジェクトでユーザーが動かないのであれば、もう少し粘ってみませんか?
 
その先にご褒美が待っていると分かると、頑張れると思います!
 
 
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<関連コラム>
第31話:IT部門/情シスのPMOは、なぜ週次定例会を開催しないといけないのか?
第30話:情シス/IT部門のPMOが陥りやすいベンダーコントロールの罠
第26話:情シス/IT部門のPMOが会議で発言できない理由とは?
 
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情シスコンサルタント 田村昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。

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