システム導入を発注側から支援する株式会社インフィニットコンサルティング

COLUMN | コラム詳細

公開日 : 2019年1月16日
テーマ : 情シスコンサルタントの提言
第19話:情シス/IT部門の役割を再設計できないと下請け部門になる?

● 大企業に共通するIT部門の深い悩み
「200を超えるシステムを管理しました」
 
田村は過去に、大手生命保険企業のお手伝いをしました。そこは200を超えるシステムが存在し、台帳の整備と管理にとても苦労しました。
 
以前、セミナーでこの話をした際、メガバンクの経営層の方から
「ウチはその倍はあるよ」
と言われ、さらにびっくりしたことを覚えています。
 
このように、大企業ほど導入しているシステムの数は多くなります。上を見るとキリがありませんが、大企業になればなるほど、事業領域が広くなり、多様なシステムが導入されています。
 
そんな大企業にとって、一番の負担は何でしょうか?
 
その膨大な数のシステムの「運用・保守」です。
 
システムは「導入して終わり」ではなく、その後が大変なのです。この「運用・保守」がIT部門の成長・発展を阻害する重い足かせとなってしまいます。
 
 
● 運用・保守を見直す
例えば、100のシステムを「運用・保守」することを想像してみましょう。
 
業務は絶えず変化するため、それに合わせてシステムの機能を改修する必要があります。業務担当者と要件を整理し、ベンダー調整・設計・テスト・業務マニュアル変更、ユーザー教育などの対応に追われます。
 
これだけでも大変ですが、最も労力を奪われるのが「問い合わせ・クレーム対応」です。
 
ITインフラやシステムは、現場から見れば「動いて当たり前」です。少しでも障害などで止まってしまうと、その怒りはIT部門に向けられます。障害対応やクレーム対応、問い合わせ対応は「即時性」が求められ、対応が遅れるごとにIT部門の評価は下がっていきます。非常に損な役回りです。
 
そのようなシステムが100あるということは、この対応が100倍になります。想像しただけで気が遠くなります。
 
心身ともに疲れ切ったIT部門は、積極的に新しいことを提案するはずがありません。土日に休日出勤しても追いつかなくなるため、極力仕事を減らそうとします。IT部門は依頼を断り続け、さらに評価を落としていくことになります。田村はこれを「IT部門の悪循環フロー」と呼んでいます。
 
一方で最近、「攻めのIT」という言葉が流行っています。特に経営層にとっては、関心の高いキーワードです。
仮にIT部門に30人いる場合、「攻めのIT」に10人は割り当てたいと考えます。余力がある企業なら、10名を外から採用することができます。しかし現実的には、現有体制の30人の中から、10名を割り当てることを考えるのではないでしょうか。
 
つまり、超多忙な運用・保守から、10名分の工数を捻出する必要があるわけです。運用・保守の関係者からは「現場を知らないから言えること」と怒られそうです。それでも、時代に合わせてIT部門にも「変化」を求められています。「変化」に対応できないIT部門はジリ貧となり、社内でも立場がどんどん追いやられていきます。
 
そうならないために、まずは運用・保守の「徹底した効率化」が必要となります。そこで生み出した余力を「付加価値の高い役割」に計画的にシフトしていくのです。
 
経営戦略として「デジタル戦略」を実行する。そのために、基盤となるIT部門の「再設計」を行います。経営層やCIOがトップダウンでメッセージを発して、企業全体の取り組みとして実行していく必要があります。
 
実際に、そのような企業は、IT部門が中心プレイヤーとして全社を横断し、活躍の場をさらに広げています。
 
 
● IT部門にもチャレンジが求められている
田村もベンダー時代に10年近く、運用・保守を担当してきました。そのため、その役割の重要性は身に染みていますし、軽視することは絶対にありません。
 
しかし、その運用・保守が大変だからと、他をやらない理由にはなりません。現状にあぐらをかいて、他にチャレンジするリスクをとらないIT部門は、社内で「下請け部門」に成り下がります。
 
IT技術が加速度的に進歩している現在は、その流れがより顕著になっていると感じます。時代に合わせて、IT部門の役割を「再設計」する必要があります。
 
貴社のIT部門は、役割を再設計し、「チャレンジ」していますでしょうか?
 
 
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情シスコンサルタント 田村昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。

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