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COLUMN | コラム詳細

公開日 : 2018年9月12日
テーマ : 情シスコンサルタントの提言
第11話:進捗管理型PMOと課題解決型PMOの違い

● ある進捗会議でのPMOと業務部門のやりとり
(PMO)「業務チームのAさん、進捗を報告してください」
(業務T)「順調です」
(PMO)「あれ?でも資料の作成が終わってないですよね?」
(業務T)「大丈夫です。もう終わるので」
(PMO)「じゃあ、資料が完成したら私にも連携してください」
(業務T)「もういいんじゃないですか?見ても分からないでしょうし、説明する時間もないし、お互い時間の無駄だと思います。もう次の話題にいってください」
 
情シス/IT部門がプロジェクトでPMOを担う企業が増えてきました。PMOの存在が認知されてきていることは喜ばしいことですが、その実態はどうでしょうか?
 
情シスがPMOとしての役割が保証されると、無意識のうちに油断が生じます。手を抜くわけではないですが、他のタスクも掛け持ちして、プロジェクトに割く時間が削られていきます。
 
そこで陥りがちな罠が、「PMOは進捗を管理していればなんとかなる」と考えてしまうことです。しかしそのような考えで、PMOはプロジェクトに貢献できるのでしょうか?
 
 
● 進捗管理の勘違い
PMOが「進捗だけ」を管理していくと、どうなるのでしょうか?
 
業務部門にとっては、「全く得がない」のです。
 
業務部門は、本業を抱えながら時間を捻出して、進捗会議に出席しています。出席するだけでも、業務部門には負担です。そこで取調室のように進捗を聞かれ、遅れを追求されると、ウンザリします。
 
PMOは上司に報告しないといけないため、「遅れ」はしつこく聞いていきます。しかし、説明してもPMOには理解できません。普段から進捗しか管理していないため、業務の説明についていけないのです。そして業務部門は、素人に分かるまで延々と説明をさせられます。
 
まるで「PMOの保身のために、業務部門が時間を割いている」という構図です。忙しい業務部門は、ますます忙しくなります。
 
このような状況が続くと、業務部門は正直に遅れを申告しなくなります。遅れを追求されると面倒なので、表面的には順調と答えるようになってしまいます。
 
徐々に業務部門の対応は以下になっていきます。
・時間をとられないよう、聞かれたことだけを答える
・本当にまずい情報は決して出さない
・個別会議にPMOは呼ばない
・困った時にPMOに相談しない
・業務部門が独自に(裏で)進捗管理や課題管理を行う
 
もはや、PMOに存在価値はありません。それどころか、進捗管理をやればやるだけ、業務部門の足を引っ張る存在になってしまいます。
 
そのようなPMOに限って、「業務部門は協力してくれない」「業務部門は情報を出してくれない」と文句を言います。
 
しかし、業務部門にとってみれば、協力してくれないのはPMOの方です。管理という名の「締め付け」だけで、いなくても困りません。むしろ、いなくなってほしいと考えています。
 
業務部門にとって必要なのは、自分たちを助けてくれるPMOです。
・業務の悩みや苦労を理解してくれる
・業務の悩みを客観的に整理してくれる
・業務の課題にも踏み込んで、一緒に解決を考えてくれる
・課題について、他部門やベンダーと調整してくれる
・課題について、上層部に掛け合ってくれる
・課題解決のファシリテーションをしてくれる
 
PMOが、どれだけ業務部門の「課題解決」に貢献できたかが問われます。
 
 
● 本当の進捗管理とは
PMOが「課題管理」を適切に行えるようになると、「進捗管理」も適切に行えるようになります。課題が分かっているからこそ、適切な期限を設定することができるのです。
 
業務部門もPMOを信頼しているからこそ、正直に「遅れ」を申告するようになります。
 
PMOが頼りになる存在だと認知されれば、黙っていても自然と情報が集まってきます。経営、業務、企画部門、ベンダーなど全てのプロジェクト関係者が相談しにきます。
 
そもそも、進捗管理をする上で、その対象となる「タスク」を理解せずに、管理することはできるのでしょうか?表面的に「遅れている」「進んでいる」は分かったとしても、その状況に応じて「対策」を打つことは不可能です。そのようなPMOが、プロジェクトに何を貢献できるというのでしょうか?
 
貴社の情シスPMOは、業務部門の足を引っ張る「進捗だけ管理型」ですか?
それとも、業務をしっかり支える「課題解決型」でしょうか?
 
 
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情シスコンサルタント 田村昇平
IT部門の育成・強化を専門とするコンサルタント。ITプロジェクトの企画から導入・保守までの全工程に精通し、そのノウハウを著書「システム発注から導入までを成功させる90の鉄則」(技術評論社)で公開している。

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